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コラム「大雨での土砂流入等の際の法的問題」

近年、全国各地で災害が発生しており、広島県でも平成26年8月豪雨災害、平成30年7月豪雨災害、令和3年8月大雨災害といった大雨による被害が度々生じているところです。そこで、今回は、大雨により所有地に土砂が流入等した場合の法的問題について解説します。

 

1 隣地から所有地に土砂が流入してきた場合、隣地の所有者に撤去を求めることができるのでしょうか?

 

土地の所有者は、所有地に流入してきた第三者の所有物をその第三者の費用で撤去することを求めることができるという妨害排除請求権を有しています。

所有地に流入してきた土砂が隣地からのものであることが明らかな場合には、土地の所有者は妨害排除請求として、隣地の所有者に対して撤去を請求することが原則可能です。そのため、まずは流入してきた土砂がどこから流れ込んできたものなのかをきちんと特定することが必要となります。

また、災害救助法が適用される災害の場合には、自治体が「災害によって住居又はその周辺に運ばれた土石、竹木等で、日常生活に著しい支障を及ぼしているものの除去」を自治体の費用で行うことが定められていますので(災害救助法第4条1項10号、同法施行令第2条2項)、その要件該当性も検討の余地があります。

それ以外にも、自治体によっては、所有地に流れ込んだ土砂を公道まで移動させた場合には土砂を撤去してくれる等の公的な支援制度を設けている場合もありますので、お住まいの自治体の制度を適宜確認することも有用です。

 

2 隣地の所有者に対して、今後の大雨の際に土砂が流入しないよう防止策を講じるよう求めることはできるのでしょうか?

土地の所有者は、土砂の流入により所有地の円満な支配状態が妨害される危険性がある場合には、その侵害を予防するために必要な措置を講じるよう求めることができるという妨害予防請求権を有しています。

大雨により隣地の地盤が緩む等して隣地から土砂流入の危険がある場合、所有者は妨害予防請求として、隣地の所有者に対して流入防止の措置を求めることが原則可能です。ただし、隣地の所有者に求める措置の内容や工事費用等が相当なものかどうかについては詳細な検討が必要となります。

 

3 隣地から流入した土砂により所有物が壊れた場合、隣地の所有者に対して損害賠償請求をすることはできるのでしょうか?

 

隣地の所有者が大雨等による土砂流入を予見できていたにもかかわらず、必要な対策を講じていなかった場合には、民法第709条の不法行為に基づく損害賠償責任を負う場合があります。上記予見可能性が認められるかどうかについては、事案ごとの具体的な状況等から検討していくことになります。

 

4 上記に記載した請求をする場合、隣地の所有者が顔見知りであることも少なくなく、どのような手段で請求していくかは悩ましい問題です。一般的な方法としては、任意での交渉や裁判上の手続き(調停・裁判)、弁護士会のはなしあいサポート制度といったものが考えられるところですので、ご相談ください。

 

弁護士 奥田亜利沙

2021年11月30日執筆